アートギャラリー能勢は、湘南スターモール商店街の最東端、市民プラザの向かいにある、絵画・ 掛軸・額縁等の美術品の販売・修復などを行うお店です。
2代目店主である能勢さんは、まち活のス タートメンバーでもあり、代表でもあります。「代表と言っても、契約ごとや外部との交渉があったとき に名前を出す程度の代表です」と謙遜する能勢さんに、まち活への思いを伺いました。
取材協力:ママぎゅっと
つなげてきた、思いや文化を大事に
元々、防災イベント「ひらつな祭」を立ち上げた経験もある能勢さん。
そんな能勢さんが語るまち活の魅力は、「まちのためになりそうで、自分たちも楽しめることを企画し、実施していけること」だといいます。
特に印象に残っているまち活のプロジェクトは、「星に願いをプロジェクト」。新型コロナウイ ルスの流行により、湘南ひらつか七夕まつりが中止になった2020年に、「7月7日に平塚でなにもイ ベントがない、というのはいかがなものか」と考え、市内の幼稚園・保育園・小学校に声をかけ、願い 事を書いてもらった短冊を約2万枚あつめ、それをまちかど広場にオブジェとして装飾・展示したプロ ジェクトです。
思いのほか商店街を歩くみなさんが、足を止めてその様子を見てくれたことから、翌年は平塚青年会議所と協力し、さらに大きい七夕飾りをしつらえ、飾りつけをしたことも印象に残ってい るそうです。
どんなものでも額に入れて飾れば、たった一つの宝物
能勢さんのお仕事は美術品の販売や修復で、最近では絵にシミができたり破れてしまったものを直す作業が多いそうですが、興味深いのは額装のお仕事の話です。
普通は額に入れて飾らないようなものを飾れるようにする、というもので、例えば赤ちゃんが初めて履いたファーストシューズを額に入れて飾れるようにしたり、カメの剥製を額に入れて飾ったこともあるそうです。
お客様の要望に応じ て相談に乗ってくれるそうで、美術品にあまり興味がなくても、そんなサービスなら利用してみたい、と興味を惹かれました。
プライベートでは、ご家族を大事にされている姿を見せる能勢さん。
休日の趣味は、「車で目的もなくプラプラでかけること」だそうで、最近ではご家族と予定が合えば、鎌倉にある葉山牛を出してくれ るお店にランチにいくことも。
2023年には長女に初のこどもが産まれて初孫ができたそうで、「孫はやはり無責任にかわいい」と表情を緩ませます。
そして今年7歳になる猫のことも可愛がっていて、その猫がハチワレ模様なことから、お店にあった白い招き猫の置物を、ご自身でハチワレ柄に塗って、お店に置いたらお客様から好評だった、なんていうエピソードも。
ご自身を野菜に例えるとキャベツだそうで、「大きそうに見えるけど、剥いていくと実は中身がないところが俺に似ている」と自虐的に笑いますが、こだわりが強くなく、なんにでも合わせてくれるところが能勢さんの魅力です。
あったかい人が多い、このまちが好き
生まれたときから平塚に住む能勢さんに、まちの魅力を聞いてみると「この場所が好きで暮らして いる人たち同士のつながりを感じさせるところ」だそう。
「普段はそれほど干渉しないけど、近所のおばちゃんが、茄子できたよって持ってきてくれたりするところも、温かみを感じる。
平塚で商売している 人同士のつながりも感じていて、こんなこと考えてるけど、何かできないかな?という相談を気軽にしてくれたり。
そういうまちの話をしていると、普段みんな表に出さないけど、このまちが好きなんだな、と感じる」と語る能勢さん。
まち活の中では年長者なので、自身が口火を切って意見しすぎないように気を付けているそうで、「若い人には、まちのためにこうしたい!という思いがあるなら、なんでもやってみてほしい。
逆に自分ができないことを若い人から教わりたい」と言います。
年長者である能勢さんの、少年のようにキラキラ輝くエネルギーが、まち活のコアな部分を担っているのだろうと感じました。
能勢 康孝
1960年8月22日 A型 獅子座
有限会社額ノセ アートギャラリー能勢
http://www.gakunose.com/